連敗した後、旧帝大後期合格。彼の14年後は……。
大学受験のシーズン。
ふと息子の友達A君の事を思いだす。
A君はとても優秀。
一流私大、国立大学。どこでもいける。はずだったのに。
受験した大学は全敗におわる。
「お前、なんで?」
と高校の進路指導も絶句した。
A君いわく、
「試験になると手がブルブル震えるんです」
それを聞いて、皆、
「あー」
と納得した。
A君は重度の【緊張しい】だったから。
初対面の人とは話せない。ほどの。
その後、東京の二流私立に合格したが、
最期にダメ元で、関西の旧帝大の後期を受けて合格した。
「0.01点の差で合格したのよ。
息子にね。この運を大事にしなさい、って言ったのよ」
とお母さんはしんみりしていた。
(たぶん0.01点ね。0.001だったかな。はっきり覚えていない。すいません)
入学後、下宿したA君は弾ける。
イケメン、高身長、気弱な(いや。優しい)A君は女の子にモテた。モテた。
それで自信がついたのか【緊張しい】もその頃にはかなりマシになっていたらしい。
卒業後はすんなり大手広告代理店に入社。
数年、東京で頑張っていたけれど、社風にむいてない、と退職。
今は出身大学で働いている。
マッチングアプリで知り合った彼女と結婚し、子供も授かった。
めでたし。めでたし。
うちの息子も、はやく落ち着かないかな。
(おっと。今年はコレを言わないつもりでいたんだわ)